
すっかりご無沙汰してしまった。
何しろ7月は3つの発表会に参加。大忙しだったのだ。
最初はご指導をあおいでいるピアノの先生主催の発表会。
いつものように松本記念音楽迎賓館で行なわれた。
そもそもピアノは、今の先生のお姉様に習っていたが、若くして急逝され、お妹様とお嬢様2人が、生徒を引き継いでくださった。(その話はこちらでhttp://peacelove.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/at-207e.html )
この場所は、亡くなった先生が選ばれたので、他の発表会とは違う緊張感がある。
天国の先生に、少しでも上達した所を聴いて頂きたいと、誰しも一生懸命に弾く。
参加者全員、去年より上手になっている。しかも難しい曲に挑戦する人多く、感心した。
しかし何より、70代、80代の方々の演奏に心を動かされた。
正直演奏そのものは、途中で立ち止まり譜面を確認したりで、滑らかとは言えない。
しかし一音一音、しっかり弾かれる音に、言霊が宿っているよう。
歩まれてきた人生の重みを音に託す、そんな演奏だった。
私の演奏曲は、メンデルスゾーンの無言歌集より「5月のそよ風」と、チャイコフスキーの四季より「舟歌」。
どちらもまずまずの出来だったが、完璧とは言えず、さらなる努力が必要と反省。
と、帰りがけに、来賓の方から思わぬお言葉を頂いた。
「一番共感が持てました。人を引き付ける音があります。」
まあ!なんと嬉しい!
皆さんが素晴らしい演奏をされたので、私はとにかく丁寧に、最後まで止まらないよう心がけただけ。
過分なお褒めのお言葉とは思うが、素直に喜びたい。

次の発表会はそれから2週間後、習い始めて日が浅い声楽の発表会。
参加するかどうか迷ったが、初心者なので、失う物は何もない!と出ることにした。
歌はサウンド・オブ・ミュージックから「全ての山へ登れ」。
「自分の可能性を信じ、夢をあきらめずに最後まで挑戦しなさい」という、元気の出る曲だ。
もちろん上手ではないが、今の持てる力は出せたかと。
一日中、他の先生の生徒さんの伴奏まで務めた先生に感謝。30曲以上お弾きになったのでは。
声楽の先生は、歌手ではなくコレペティトールという、声楽家のコーチをするのが専門。
そして何より伴奏がとてもお上手。
「本番は何が起きるかわからない。」と不安がる私に、「何があってもついていけるから大丈夫!」と、温かいお言葉。
実際、ピアノと比べ、先生の伴奏で歌えるのは、なんと安心なこと。
そして歌は、メロディーだけを覚えればいい。ピアノは一人で伴奏と両方を弾くので、暗譜も大変。
最後の和音まで、一人で何としてもたどり着かないと、舞台を降りられない。
ピアノを弾くとは、つくづく孤独な作業と思う。
この日は全部で30名弱の参加者がいたが、人の声にこれほどバラエィがあるとは驚いた。
お上手な方はたくさんいたが、耳の不自由な方の歌に一番感動した。
先生の合図で歌いだすのだが、正直声にならない声。それでも心は伝わる。
不思議なことだが、そういうことが可能なのだと、初めて知った。
このグループは、打ち上げが楽しい。名幹事のおかげで、おいしいお食事とお酒。
いつまでも話が弾んだ。そしてこの次また素敵な発表会ができるよう、励まし合って終わった。
今まで、声楽は第2外国語と思っていたが、これを機に、歌とピアノと、両輪として励んでいきたいと思う。

そして最後は毎年恒例、音楽グループ主催の八ヶ岳での発表会。
朝東京を出発し、簡単なリハーサルをして、午後に演奏会、そのあとは皆で合唱。
3・11の後は、しばらく「花は咲く」を歌っている。
それからケーキとお茶、温泉、夕食、おしゃべり。
翌日は早朝から自由練習、近場の観光(ちなみに今年はサントリーのワイナリーへ)、帰京とあいなる。
ピアノの先生の発表会の後なので、私はいつも気が抜けてしまい、成功したことがない。
がっかりしていたが、「去年より上手になった」と、諸先輩の励ましを受け、少し気分が軽くなった。
ともあれ、暑さの中、3つの発表会を無事に終えたことは嬉しい。
なんでこんなに発表会に出るか?
二つのことがあると思う。
ひとつは参加することによって、必ず何かがつかめる。発表会とは不十分な部分を見つけるところ。
もうひとつは、音楽を介さなければ、伝えられない物があること。
上手下手とは別に、誰しもが音楽によって伝えられるもの、他者と結ばれるものを持っていると思う。
それを表現できる場があることが嬉しくて、つい出てしまうのだ。
9月、10月と、また発表会がある。
どちらも20分の持ち時間があるので、上記の2曲の他にもう1曲、メンデルスゾーンの「春の歌」を弾こうと思う。
過度な挑戦なので、成功するとは思えないが、ただいま猛特訓中。
上手に弾こうと思わず、曲の語り部となるよう、気負わずに奏でることが出来たらと願う。
こうして2015年、私の夏は終わる。
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