« ベランダは花盛り | トップページ | 皐月の風に向かって。 »

熱狂の日(ラ・フォル・ジュルネ)

Img_2391 ゴールデンウィークの「熱狂の日」は、今年で4回目になるのだろうか。今回初めて行った。

いままで興味はあったのだが、人ごみ嫌いで、ついしり込みを…。

今回出演者の中に、ビィオラの今井信子さんと、ピアノの仲道郁代さんを見つけ、重い腰を上げたのである。

ゆえに他はうろうろせず、地下鉄から一気に出演しているホールへ行き、すぐに帰宅。「熱狂の日」の全体像は分からない。

Img_2390

今井信子さんは、その著書を読んで興味を持ち、是非一度生演奏を聞いてみたいと思っていたのだ。(本の感想はこちら:http://peacelove.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_31bd.html )

仲道郁代さんは、その名声を知りつつも、美貌ゆえにマスコミが取り上げているのかと、勘違いしていた。あるとき知人のブログを読み、彼女の出ている番組の再放送を見て、自分の思い違いを知った。(友人のブログはこちら http://egg2006.blog.so-net.ne.jp/2007-11-29 )

たまたま今井信子さんと同じ日に演奏があるので、聴いてみたいと思った次第。

さて、今井信子さん。5月5日と6日、2回聞きに行った。

5月5日は、フランソワ・キリアン(ピアノ)との演奏。演目は、ベートーヴェン:ノットゥルノ作品42より抜粋、細川俊夫:ヴィオラとピアノのためのリートII、シューベルト:アルペッジョーネ・ソナタ イ短調D821(ヴィオラ版)。(ホールD7)

6日は、同じくフランソワ・キリアンとのシューベルト:アルペッジョーネ・ソナタ イ短調D821(ヴィオラ版)、そのあとは現在一緒に演奏しているミケランジェロ弦楽四重奏団の団員のうちミハエラ・マルティン(バイオリン)、フランス・ヘルメルソン(チェロ)との演奏。演目は、シューベルト:弦楽三重奏曲第1番 変ロ長調 D471、弦楽三重奏曲第2番 変ロ長調 D581。(ホールB5)

どちらのホールも、200-300人ほど入れる、小さなホール。

5日の目玉は、明らかに「ヴィオラとピアノのためのリートII」。2007年に細川俊夫氏が作曲した、フルートとピアノのための「リート」のヴィオラ版。ラ・フォル・ジュルネ2008年の委嘱作品として作曲し、今井信子さんに捧げたそうだ。

これはもう素晴らしい。演奏者二人とも、出し切るものを出し切った演奏だった。今井さんは、現代音楽の演奏がとても上手だ。初めて聞いた者にも、曲を違和感なく懐に落とし込む。充足感のあるあと味を残してくれた。

作曲家が、私の前に座っていたのには驚いた。拍手で立ち上がると、やや恥じらう小柄な後姿に、音楽への秘めた情熱が、にじんでいる。

最初のベートベンは、何となく今一つの印象。音のバランス、間の取り方が、ややぎくしゃくしていたように、聞こえた。

というより、ホールのせいだ。反響板もなく、音を吸収してしまうので、ビオラが響かない。

2曲目から調整したのだろう。そのあとはそれほど気にならなかった。

3曲目のアルペッジョーネ・ソナタは、アルペッジョーネという楽器がなくなってしまったので、今ではチェロもしくはヴィオラで弾くという。初めて聞いたが、哀愁を帯びた民謡風の曲で、ピアノもヴィオラも、”歌って・歌って”の演奏。

このような催しでは珍しく、アンコールに応えて、「美しきロスマリン」を、爽やかに演奏した。

ホールのことが分かったのは、5日の最後と6日の最初の演目が同じだったから。6日のホールの方が、ずっと音が良く、ピアノが柔らかく聞こえた。もちろん前日の演奏から、奏者が気を付けたのかもしれない。

この日はピアノの出だしがとても良い。ビオラが弾き始める時、思わず一緒に、メロディーを口ずさみそうになった。

この曲は前日初めて聞いたものだ。それなのに歌いそうになってしまうのは、なにより演奏が素晴らしい。それと昨日のホールより、残響がいいので、ピアノが乱暴に聞こえないこと。しかし、これがシューベルトなのかもしれない。聞いているものを、思わず歌わせてしまう。

そのあとの三重奏は、音の調和が良く、四重奏に勝るとも劣らない、音の深みと広がりがある。心地よく、重厚にして軽やかな演奏だった。

それにしても、今井信子さんはヴィオラ弾きのマイスター(職人)だ。

どんなものを与えられても、ちゃんと弾いてしまう。

作曲家を理解し、共演者とのバランス、ホールへの対処など、瞬時に全体を把握し、自分はどう演奏すべきかわかり、実行できる人なのだ。

演奏の合間の人間味あふれる笑顔がいい。完成された人の自信と余裕を感じさせた。

地味な、しかし良質の服装が、彼女の演奏をより盛りたてる。私の大好きな濃紺と黒の配色だ。

2日間、同じ人に会った。みんな今井さんのファンなんだ。

(仲道郁代さんの感想は、また後日。)

|

« ベランダは花盛り | トップページ | 皐月の風に向かって。 »

音楽」カテゴリの記事

コメント

ご苦労様でした。
今井信子さんは頭のよい人なのでしょう。
ホールへの対処などおっしゃるように、1曲でホールの特性を理解し
次の曲から工夫するなど。というのは、5/6にお聴きになった、
ホールB5は決して残響は豊かではなく、デッドです。
しかし彼女は,5/4ミケランジェロSQで演奏していますので、
ホールB5の特性を理解し、共演者ともども、ホールにあった
演奏をされたのではないかと思います。
いずれにしろ大した演奏家ですね。

投稿: kita | 2008年5月 8日 (木) 21時26分

kitaさん、コメントありがとうございます。今井さんのような人を今まで知らなかったのは、残念です。これからは追っかけで、聞き続けていきたいと思っています。

今回行く気になったのは、kitaさんが彼女の本を紹介してくださったからです。いつも貴重な情報を、ありがとうございます。

投稿: anan | 2008年5月 9日 (金) 12時24分

熱狂の日も、もう4回目ですか、、、
ワタクシ実は一度も行ってません。
毎年、まずプログラムを詳細に眺める気力が湧かず、
やっと見つけたお目当ても、チケットはすでに売り切れ、
こんな状態では、いつまで経っても聴けませんね。

今井信子さんと仲道さん、それと田部京子さん、
やはり、その気になって出かけないと話が始まりません。

投稿: e-g-g | 2008年5月 9日 (金) 23時39分

e-g-gさん、勝手にブログを紹介させていただき失礼しました。おかげさまで、仲道さんという素晴らしいピアニストを知ることが出来ました。

熱狂の日は、kitaさんによるチケット購入指導のおかげで買えました。解禁と同時にPCを叩くのは結構大変。教えてくださったkitaさんは、主催者側のシステム不具合で、お目当てを購入できなかったのです。申し訳なく感じています。

でも確か田部さんは聞いたようです。感想伺いたいですね。

私が頑張ってホールに行くのは、自宅の再生機がひどいからです。でも、たとえ良いものを用意しても、ゆっくり自宅で聞くかしら?女って、家にいるとつい家事を思いつき、落ち着かないのです。

投稿: anan | 2008年5月10日 (土) 08時18分

チケット購入については特段のご指導もしていないのに恐縮です。
田部京子さんは即興曲Op.142の全曲を聴きました。端正な演奏でした。
好きな曲ではありますが、強烈な印象を残すほどではありませんので、
「端正な」という以上の感想はありません。

田部さんでは昨年12月に聴いた、シューマンが素晴らしく、次回は
6月12日のシューマン・チクルスの2回目を楽しみにしています。
カルミナSQとのピアノ五重奏曲などで、音響の素晴らしい浜離宮
朝日ホールですので、期待しています。

投稿: kita | 2008年5月10日 (土) 14時07分

kitaさん、浜離宮朝日ホールとは羨ましい。また感想を聞かせてください。

投稿: anan | 2008年5月11日 (日) 00時33分

この記事へのコメントは終了しました。

« ベランダは花盛り | トップページ | 皐月の風に向かって。 »