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第75回 日本ダービー

Img_3276 2008年6月1日、府中は抜けるような青空だった。薫風爽やか、前日の雨で洗われた芝生は、初夏の日差しに輝いていた。

府中東京競馬場は、その日差しより熱い人々の期待が渦巻き、山火事のように燃えていた。サラブレッドの3歳馬の頂点を決める、ダービーが開催されるからだ。そして、私はそこにいた。

そろそろ前期高齢者になろうという年。この年になったら、「一度でいいから!」の想いを、ひとつづつ実現しようと思う。

かねがね、競馬を見てみたいと思っていた。

テレビではなく、生のサラブレッドを拝んでみたい。

身近な競馬好き人のすべてに、一度連れて行ってほしいと頼んでいた。そのチャンスがこんなに早く来るとは!

しかも一般席ではなく、貴賓室だというのだ。これはもう大変。映画のような帽子をオーダーしないといけないのか?

するとピンからキリで、普通の格好をした人もいるから大丈夫、とのこと。

服装は「スマートカジュアル」を心がけ、朝9時の待ち合わせに遅れぬよう、目覚ましをかけた。混雑と己の混乱を考えると、7時半には家を出なくてはなるまい。

ずっと昔の話だが、京王線で通う友人が、土日は窓ガラスが割れると、まぁ誇張していると思うが、そう言った。

そんな心配も無駄で無事到着。

こんなに大きな競技場は、今まで見たことがない。いったい何人収容できるのか?

規模もさることながら、建物がじつに立派だ。相当な工事費と推測。集まるお金を考えれば、不思議ではない。

来場者はさまざまで、子供連れもいれば、若者同士、カップル、そしていかにも、小説や漫画に出てきそうな、プロっぽい人まで。

Img_3296 お招きに預かった貴賓室は8階にあり、3階の受付から直通のエレベーターに乗る。過去のダービー優勝馬の名前がついた小部屋が沢山並んでいる。

中はコースに面して大きなガラス戸、モニター画面、各種競馬新聞が置かれた大きなテーブル。ガラス戸をあけて外に出ると、コース全体を俯瞰する観覧席がある。

今回は総勢14名のお集まり。皆さん競馬通で、席に着くなり、競馬新聞と室内のモニター画面をチェック。早速馬券を買いに行く。

Img_3281私の目的はサラブレッドを見ることだから、まずは下に降りてパドックへ。もう第1レースの出走馬が、パドックを歩いていた。

Img_3291馬に騎手が騎乗すると、パドックから計量室の前を通って、コースへ出ていく。ここはガラス張りになっていて、「ホースプレビュー」と看板が出ていた。それを追って、パドック→ホースプレビュー→コースと移動する。ちょうど出たところが、うまいことゴールラインになっていた。ここで迫力のラストスパートを見る。

ゴールを見終われば、勝ち馬を見るために、またホースプレビューへ。するともう、次のレースの馬がパドックにいる。

このように行ったり来たり、大変忙しい。この合間にどうやって馬券を買うのだろう。

真夏のような日差しの中、まさかこんなに外を歩くと思わなかった。日焼け止めも付けてない。ついに耐えかね、「第75回日本ダービー」と書かれた帽子を買ってしまった。馬券を買う前に、大枚2,700円の投資。情けない。

すると貴賓室にいる友人から電話。お昼だという。

戻ると、豪華絢爛の昼食が用意されていた。ビール、ワイン、などいただき、しばし寛ぐ。

メインレースの出走は3時過ぎ。あまりゆっくりせずに、もう一度馬を見に行こう。会場はどんどん混んできて、身動きできなくなりそう。

パドック+ホースプレヴュー+コースを2回繰り返すと、もうダービー出走馬がパドックに出てきた。

  Img_3303 いずれも駿馬。しかし午後の日差しが容赦なく照りつけ、汗びっしょりだ。しかも他のレースよりパドックを歩く時間が長い。興奮がよけいに発汗させているようだ。

ん?シッカロールをつけているのか?と思ったら、汗が泡立ち白くなっている。

皐月の薫風は、馬の汗と落し物で、やや混濁気味。

Img_3312その中でひときわ涼やかなのは、1番のディープスカイ。汗もかかず、一歩一歩堂々とした歩みだ。これが栗毛というのだろうか?タテガミも、体と同じ茶色をしている。いくつかに分けて束ねてあるのが、愛らしい。

どの馬も出走に際して、精一杯のおしゃれをしている。尻尾にはリボンをつけ、タテガミをミツアミにしたり、奇麗に長さをそろえて刈ってあったり。

顔にカラフルなマスクをしている馬もいる。その口を取る人は、マスクとカラー・コーディネイト。紺のシャツにピンクのネクタイだ。

厩舎一体になって、晴れ舞台に送り出したのがわかる。

Img_3350さあ、いよいよ騎手が鞍上に。コースへ出ていく。

Img_3360私は急いで8階貴賓室へ。この人ごみの中、上から見なければ、何も見えない。

メインレースは全員外の観覧席から応援。指導により、片手には丸めた競馬新聞。これを振り回しながら応援するのが、正統競馬ファンとの由。

Img_3365 国歌斉唱の後、いよいよゲートイン。

暴れる馬をなだめに、紺シャツ・ピンクネクタイの兄さんが走っている。

奇麗なスタートだ。が、それも一瞬。あっという間に向こう正面から第3コーナーを走っている。

みんながあわてている。なんだなんだ。一番の馬は、誰も買っていない。

大丈夫、ようやく第4コーナーで、強い馬が大外から直線に向かった。

Img_3369 そして、あの落ちついていたディープスカイが、最後の差し脚でゴールを駆け抜けた。

いいものを見た!興奮の余韻と満足感で、いつまでも体が火照っていた。

で?馬券はどうしたかって?

午前中にイケメン騎手の品定め。どうせ分からないので、騎手の顔で買って、しっかり当てた。

でも、当てたお金は、持って帰ってきちゃいけない。馬の飼葉代に馬券にして返さないと。

そう思って、安田記念を買うつもりだったが、この2週間の多忙で、暇がなかった。

秋の重賞レースで、ちゃんと返そう。

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コメント

はじめての競馬観戦とは思えない、詳細なルポになっていました。
競馬場の様子がよくわかりました。
貴賓室や豪華絢爛な昼食の写真があればなお結構でした。

投稿: kita | 2008年6月11日 (水) 21時17分

kitaさん、ご意見ありがとうございます。貴賓室や昼食の模様は、プライバシーの関係で、載せられる写真がありませんでした。今後はさらなる工夫をし、諸問題を、技術的に乗り越えられるようにしたいです。

投稿: anan | 2008年6月12日 (木) 16時02分

いやぁ、これは臨場感あふれる実況中継ですね〜
馬は好きですけれど、競馬にはとんと関心が無く、
ダービーも、大昔に一度だけ馬券を買ったことがあるくらいです。
競馬場も、もちろん行ったことがありません。

いつも『中央フリーウェイ』を口ずさみながら、
横目でチラッと見るだけの東京競馬場、
ちょっと認識が変わりますね。
いちど訪れてみたいものです。

投稿: e-g-g | 2008年6月12日 (木) 22時59分

e-g-gさん、ようこそ!

初めての東京競馬場、本当に興奮しました。馬券を買う人も買わない人も、十分楽しめる設備があります。子供のための遊園地や、レストランなど。でも、行ったあかつきには、飼葉代と思い、少々のお小遣いを使ってください。

ATMもありました!

私が感心したのは、レースの時、救急車がコースの内側を一緒に走ることです。馬を脅かさないよう、少し後ろからですが。落馬の時ただちに救うため、ここまで気を配っています。

またレースが終わるたびに、観客席から何か投げ込まれたものがないか、馬もしくは騎手が落としたものはないか、従業員が一列横隊になり、コースの点検をします。芝生は、かき分けて確認しています。

よく清掃され、ごみもあまりありません。ほんと、たいしたもんです。

投稿: anan | 2008年6月13日 (金) 14時39分

はじめまして。
京都競馬場には、何度か足を運んだのですが、、、。
グリーンの美しさが、競馬場の魅力で、しばらく、通いました。

当てましたか、すごいですね。
私は、いまだ、、、。

投稿: とくさん | 2008年6月14日 (土) 06時57分

とくさん、お越しくださりありがとうございます。

京都競馬場、確か天皇賞とか桜花賞が開催される所でしょうか?TVでしか見たことありません。次に行って見たいところです。

馬券は全く分からず、当っていたのも、人に見てもらって分かりました。正直馬券は買わなくても充分楽しめましたが、これだけの施設の運営、競馬という一種の文化を維持するため、行った者は購入せねばならぬ、と思い至りました。ほんと、素晴らしかったです。


投稿: anan | 2008年6月14日 (土) 09時43分

ananさん、こんにちは。
遅くなりましたが、やっと来ました。
これから時々お邪魔しますのでよろしく。


さて、府中競馬場の日本ダービーを観戦に行かれたんですね。
季節は良いし、日本最大のレースだし、夢実現のためには格好の舞台ですよね。
それも貴賓席とはすごい。

昔、府中競馬場の近くに住んでいました。
安田記念やダービーをゴールラインのすぐそばに昼間から陣取って、
丸めた競馬新聞を片手に(笑)観戦。
サラブレッドが駆け抜けるあの迫力は忘れられません。

馬券は買わなくとも、競馬場は広くて緑がきれいで、
ピクニックの場所にもなりますよね。
また行きたいと思いながら、10年以上行く機会のないまま、今に至ります。

投稿: HARU | 2008年6月15日 (日) 10時39分

HARUさん、ようこそ!よろしくお願いいたします。

私ももう少し若ければ、ゴールラインのそばに陣取りたいです。実際、混雑前の午前中は、そこで見ていたのです。私は女としては、背が高い方なのですが、昨今の若者は体格が良く、なかなか見るのも大変でした。そこであきらめて上に上がったのです。

また行きたいです。

投稿: anan | 2008年6月15日 (日) 21時58分

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