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当世西洋オペラ事情 (追加写真あり)

(本日記事に写真を追加しました!)

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ご報告が遅くなったが、7月4日から2週間、ミュンヘンとミラノに行ってきた。

そもそも今回の旅行は、友人でクラシックのCD制作ディレクターの発案。

さんざん僻地旅行をしていたが、寄る年波で無理が利かなくなり、若い時に仕事で行った場所をもう一度訪れたい。

仕事の合間に聞いたオペラを、奥様とともに鑑賞したい、これが発端。

さりとて切符の手配は出来ず、私にお鉢が廻って来た。

いっそ一緒に行かないか?とのお誘いも。

私はそんなにオペラを見たこともないが、こんなチャンスがなければ本場で聞けない。

よし行ってみよう!

ついてはもう一人友人を誘い、4名の旅行を計画。

昨年のザルツブルグ音楽祭観賞旅行が楽しかったので、その続編というわけ。

切符の手配は、昨年秋からインターネットで申し込み、今年2月の結果発表を待った。

どれが取れるか分からないので、友人の指示のまま、今年目玉のベルディ作品を中心に、あれこれ申し込んだ。

結果は、ひとつを除き、他全部、すなわち、「ファルスタッフ」、「椿姫」、「ナクソス島のアリアドネ」、「シモン・ボッカネグラ」、「仮面舞踏会」が取れた。

たった一つ取れなかったのは、当代一のテナー歌手との呼び声高い、ヨナス・カウフマン主演の「イル・トロバトーレ」。

たくさん取れて嬉しかったが、一方、旅行予算超過。それからは出発までは、節約の日々。

幸いなことに、ミュンヘン到着の翌日、当日キャンセル待ちの列に並び、見事「イル・トロバトーレ」の切符も手に入れた。

(拙稿、「ミュンヘン オペラ フェスティバル」 http://peacelove.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-b45c.html をご参照あれ!)

かくして全部で6つの作品を観ることが出来たのは、幸せと言うほかない。

さて、本場でのオペラ鑑賞はというと、まずは劇場の素晴らしさ。

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(写真はミュンヘン国立歌劇場)

「仮面舞踏会」はミラノ・スカラ座、「ナクソス島のアリアドネ」は、ミュンヘンのPrinzregententheater(日本語でなんと訳すのか不明にして知らず)、その他はミュンヘン国立歌劇場にて。

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(Prinzregententheater)

スカラ座とミュンヘン国立歌劇場は馬蹄形、Prinzregententheaterは普通のシアター形式の劇場だったが、どこも素晴らしく音が良い。

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(ミラノ、スカラ座)

特に「イル・トロバトーレ」は4階真正面の一番前、「ナクソス島のアリアドネ」は前から5番目の席だったので、音が良く来た。

観客のお洒落な身なりを観ることも、オペラの楽しみの一つだ。

やはり西洋人のトルソーの厚み無くして、タキシードやイブニングは似合わないと、つくづく思う。

次に指揮者とオーケストラの良さ。一言でいえば、オペラの演奏に慣れている。

ミュンヘンとミラノの音の違いにも気付いた。

どちらも良い音なのだが、論理的・観念的ドイツの演奏と、イタリアの青空に抜けるような澄んだスカラの演奏は、好対照だった。

歌手たちは、ヨナス・カウフマン以外は、それほど日本で知られている人がいなかったように思う。

しかし、毎回これでもかというほど、素晴らしいメゾ、ソプラノ歌手が出てくる。

テノール、バリトン歌手との重唱も聞きごたえあり、これらの歌手の今後を、注目して見守りたいと思った。

指揮者は、「ナクソス島のアリアドネ」と「シモン・ボッカネグラ」のベルトラン・ド・ビリー(Bertrand de Billy)がちょっと気になった。

演出はと言えば、全て凝っていて、ひとひねりしている。

時代を置き換えているものがほとんどで、「仮面舞踏会」は17世紀末、アメリカのボストンが舞台のはずだが、なんとアメリカ大統領予備選挙もどき。

主人公リッカルドは、資金集めのパーティで、刺殺ではなく、銃撃されて死ぬ。

「シモン・ボッカネグラ」も、14世紀のジェノヴァが、第1幕は1920年代シカゴのマフィアの抗争、第2幕は取締役会議のようだった。

どちらも、舞台に自動車が出てきたりするのである。

そういう演出がいいかどうか、意見は分かれると思う。が、私のように見慣れてないものは、オーソドックスなものを一度は見たいと思った。

舞台の色彩は、モノトーンを基調に構成されているものがほとんどで、さし色にピンクや赤を使っていた。

まだまだ書きたいことがいっぱいあるが、今日のところはこれまで。

また折に触れて、ご報告したいと思う。


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コメント

ちゃんとしたオペラは鑑賞した事がありません。
続編、ワクワクしてお待ちしています。

投稿: kiri | 2013年8月 1日 (木) 07時47分

オペラ・・・ この歳まで
一度も鑑賞経験無し

いいきっかけがあってよかったですね
中々 経験出来ることではね・・・
切符の手配の労力もすごい

オペラ三昧の旅・・・続きを
楽しみにしています

投稿: あんまんじゃ~ん | 2013年8月 1日 (木) 10時14分

羨ましいの一言です!
名古屋にいるとオペラはもう別世界です。
名古屋二期会がオペラを上演してますけど
その程度しかありません。

私の恩師も年末はいつもイタリアに行って
オペラを楽しんでいました。
でもドイツのオペラがイタリアとそんなに違うとは!
希望するすべての舞台を見ることが出来て何よりですね。
う~~ん^^;
ともかく羨ましいの一言です!!

報告をどうもありがとうございます。

投稿: こごろう | 2013年8月 1日 (木) 11時13分

オペラ・・よくはわかりませんけど
本場で見る、聴く?ことは、すばらしいことでしょうね
う~んうらやましい

投稿: 姉さん | 2013年8月 1日 (木) 21時08分

去年のザルツブルグを思い出しました。
すばらしいの一言なんでしょうね!
私も鑑賞したことありませんが、
外国経験豊富で、色々な知識をお持ちになってられるので、
楽しみ方も知っていられるようですね。
うらやましいです

投稿: マイグリーン | 2013年8月 1日 (木) 22時31分

オペラといえば、何年も前に小澤征爾指揮、サイトウキネンオーケストラで見た「ヴォツェック」(by アルバン・ベルグ)が異様に印象に残っています。
舞台装置も、陰惨なストーリーも、芸達者なオペラ歌手も。

他にも、主に小澤征爾オペラプロジェクトで何作か見ましたが、
オペラって、スケールが大きすぎて、どこに着目すればよいのやら…といったところが。
鑑賞直後は、あれこれ感じているのですが、あとで思い返すと忘却のかなた…ってことが多いです。
やっぱり、それ相応のお勉強が必要なんでしょうね…。

こちらの記事を拝見して、オペラ座という容れ物自体の貫禄、という点でも本場は違うよなあ…と思いました。

レポート続編、楽しみにしています。

投稿: PIO | 2013年8月 1日 (木) 22時53分

★ kiri様、なるべく早く続編を書きますね!

投稿: anan | 2013年8月 2日 (金) 18時19分

★ あんまんじゃ〜ん様、このような旅は、誘ってもらわずしていけません。
しかも我が友人は、啓蒙主義的専制君主
(すなわち、自分の良いと信じた物を無知な者に紹介するのが好き)で、
見る前にCDを聞かせたり、あらすじや、自分が見て
一番良かった舞台の説明など、細かくしてくれます。
ありがたいのですが、ちゃんと傾聴しないと怒髪天を突き、
えらく叱責されます。

投稿: anan | 2013年8月 2日 (金) 18時26分

★ こごろう様、歌舞伎好きのこごろう様ですから、
ご覧になれば、絶対オペラにはまることでしょう。
ただ来日する海外のオペラは、あまりに高く、しかも切符の入手困難。
とはいえ、海外旅行そのものもお金と時間がかかります。
私も諸事複雑だった時期は、10年間外に出ておりません。
こごろう様にも、いつか時間の自由になる日が来ると思います。
その日まで頑張れー!です。

投稿: anan | 2013年8月 2日 (金) 18時33分

★ マイグリーン様、あんまんじゃ〜ん様へのお返事に
書いたのですが、啓蒙主義的専制君主である我が友人の
お陰で、理解することが出来ました。
これまで海外旅行の折りに、数回オペラを観ましたが、
いつも一人旅なので、昨年のザルツブルグや、今回のように
終わってからワイワイガヤガヤ、友人とともに
鑑賞した作品の意見を交換するのは、大変楽しかったです。

投稿: anan | 2013年8月 2日 (金) 18時41分

★ PIO様、「ヴォチェック」と言うオペラは見たことありません。
ググって筋書きを読みましたが、小澤征爾は、何故
このオペラを上演したのでしょう?あまり楽しい内容では
ありませんが、音楽は良かったですか?
今回いろいろ良かったことがありますが、やはりルートヴッヒ2世が
オペラを観た劇場とか、夜な夜なマリア・カラスが歌った劇場で鑑賞できたのは、心ときめくことでした。

投稿: anan | 2013年8月 2日 (金) 18時54分

★ 姉さん様、お返事がとんでしまいごめんなさい。
幸いチャンスに恵まれ、本場でたくさん見られて良かったです。
日本ではあまり知られていなくても、ものすごい歌手が
いっぱいいることが分かりました。
数年後に有名になったら、楽しいですね。

2年前ドレスデンで聞いた、韓国系テノール歌手、
Wookyung-Kim(ウオーキュン・キム)は、今年10月、リゴレットのマントバ公爵役で来日します。
当時無名だったのですが、今年ヨーロッパでブレークしたそうです。
その時からめちゃめちゃ上手でした。

投稿: anan | 2013年8月 2日 (金) 19時14分

小澤征爾のヴォツェックは、舞台美術が非常に洗練されていました。
記憶もおぼろげですが、キラキラ輝くボックスを積み木のように重ねて使い、
それが、氷を表現したり、心の高揚を表現したり、といったことだったかと。

音楽は、不協和音の連続か…と危惧しましたが、思ったほど聞きづらくなく、メロディアスで楽しめました。

いわゆる「素晴らしい衣装に豪華絢爛な舞台」というものとは一線を画す舞台芸術で、大変完成度が高く、圧倒された次第です。

最後に、ひとり取り残された子どもが
「ぽっぽー、ぽっぽー」
と口ずさむ幕切れが衝撃的で、忘れられません。
松本市在住の少年が演じていました。

投稿: PIO | 2013年8月 2日 (金) 20時43分

★ PIO様、「ヴォツェック」について、書き込み、
ありがとうございました。
PIO様がご覧になった舞台のように、いまや
「素晴らしい衣装に豪華絢爛名舞台」
というものは、無くなりつつあります。
今回はひとつもありませんでした。
その代わり、舞台美術としては、お金をかけていました。
おいおいご紹介いたしましょう。

投稿: anan | 2013年8月 3日 (土) 13時44分

ananさま

すごい行動力ですね。
尊敬! です。

こんなに堪能されるとは!
すばらしいご旅行でしたね。
いろいろな経験、ぜひ、アップしてください。
本場を、まだ見ぬ人のためにも・・。^^
ここで疑似体験させてもらってます。
オペラの内容は、聴いているだけで理解できるのですか?
日本語でも、なかなか、わからないです・・。^^

投稿: クリ | 2013年8月 6日 (火) 10時49分

★ クリ様、お越しくださりありがとうございます。
オペラの内容は、もちろん!胸を張ることではありませんが、
聞いただけでは、分かりません。(ましてや外国語ですもの)
したがって前準備とか、後でまた筋書きを読んだり、です。
でも音楽そのものの美しさをまずは聞く、歌手達の演技も、
素晴らしいので、分からないなりに、雰囲気はつかめます。
去年ザルツブルグで見たオペラが、帰りの飛行機で見れました。
自分の見た舞台をもう一度DVDなどで見ると、細かいことが分かって、
大変面白かったです。

投稿: anan | 2013年8月 6日 (火) 21時14分

素晴らしい体験をしていらしたのね。
やはり、劇場も人々も音楽も、日本ではちょっと味わえないものですね。
素晴らしいオペラは日本でも聴くことができますが、あの劇場の雰囲気までは無理ですもの。

これからのお話も楽しみにしています。

投稿: Mikiko | 2013年8月 6日 (火) 21時42分

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