音楽

初めて出来た!

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5月20日、所属している音楽グループ主催のピアノ発表会があった。

年に2回、大きな舞台で演奏できるチャンスがあるが、そのうちの1回。

青葉台のフィリアホールは音響も良く、幹事の方の思い入れも格別だ。

いつも緊張する舞台。

今回私は、チャイコフスキーの「四季」より、”舟唄”と”トロイカ”を弾いた。

両方の演奏時間、約10分。

どちらもそれなりに大曲なので、弾き終わるまでの緊張の持続が難しい。

今までは、片方がうまくいっても、もう一つが失敗とか、なかなか両方揃えて成功しない。

それがそれが!今回初めて、うまくいった!

よく調律されたスタンウェイのピアノの音色が心地良く、ほどよい緊張感とともに最後の和音に到達。

もちろん、他の方と比べれば、ビッケの私はたいしたことない。

自分の中だけのことだけど、とても嬉しかった。

それもこれも、ピアノの先生はじめ、声楽の先生(実際、歌の先生のピアノはとてもお上手!)のご指導と

音楽グループの諸先輩のアドバイスおかげと、深く感謝申し上げる。

特に、今回の幹事の方が、出来の良くなかったリハーサルの後に、すごく励ましてくださった。

支えてくださって全ての方に、ありがとう、ありがとう、を10回くらい言いたい。

最後に、下手なピアノを我慢してくれた、同居猫にも!

あ・り・が・と!!!

(こちらが全体のプログラム)


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「羊と鋼の森」

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ご存知、本屋大賞のこの作品。

ひさびさの気持ち良い読後感。

自分と音楽との関わりを再認識させられた。

読み方は色々。自分と芸術、人生とも、置き換えて読むことも。

お勧め!


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本邦初演 B.A.ツィンマーマン 「ある詩人のためのレクイエム」@サントリーホール 2015年8月23日

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声楽の先生のつながりで、標記のコンサートを知り、急ぎ予約を。

この試みに関する説明はこちらから: http://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20150823_M_2.html
  
その時点(7月29日)で、すでにほとんど空席なく、ようやく2席確保。

ツィンマーマンと聞けば、ピアニストしか知らないが、どうやらそうではないらしい。

現代音楽の作曲家で、難解な曲で有名な人だそうだ。

オペラ「軍人たち」(1963年初演決定)を完成させたあと、この作品に取り組み、書き上げた。

が、完成の翌年52歳で拳銃自殺を遂げる。この曲が本人のレクイレムとも解釈されるのは、そういうことだ。

普通のオーケストラと違い、ヴァイオリンとヴィオラを廃し、弦楽器はチェロとコントラバスのみ。

オルガンと2台のピアノ、多くの管楽器と打楽器を使い、さらに、ジャズ・コンポまで組み込み、驚くべきは、長大で複雑なテープ・コラージュ、すなわち様々な歴史に残る詩人、思想家たちのテキストの朗読、政治家、独裁者、宗教者たちの演説や、ワグナー、メシアン、ベートーヴェン、ビートルズなどの音楽の引用、などが音楽の一部として用いられている。

それに加えて、場内4カ所に別れた合唱団とソプラノとバスのソリスト、さらにナレーター2名が全体を司る。

友人の強い希望で、切符を入手したが、果たして理解できるか、不安な気持ちで出かけた。

生音だけでなく、スピーカーから流れる音もあるという。

20年以上前、体調を崩し、アンプ・スピーカーから流れる音がダメになった。

故にクラシックに転向した私が、最後まで聴けるだろうか?

しかも暑い日中、テニスを3セットしたあと。眠気に耐えられるか、それも心配。

最初にプロヂューサーの長木誠司氏と指揮者大野和士氏の、この作品に関するトークから始まる。

(恥ずかしながら、長木誠司氏も存じ上げない。)

お二人の素敵な声に、ここは眠る。ああ、本編寝ないで済むかだろうか???。

ところがところが、始まるやいなや、この音の世界に取り込まれてしまい、目パッチリ!!!

映画館のサラウンド効果さながら、サントリーホールの全体から音が私を包み込む。

アコースティックと、電子的な音との融合も上手にできている。

テーマはいとも簡単なのだ。Dona Nobis Pacem 平和を与え給え。

しかしそれがどれほど困難なことか、誰もが知っている。

シンプルで深い、このテーマ。力強く繰り返される。

その一方、これほど複雑なアンサンブルが破綻をきたさず、聞いている人すべてに、しっかりとそのテーマを伝えた。

演奏に携わった全員のレベルの高さが知れる。

大変刺激的で示唆に富んだ演奏会だった。

おそらく、わたしの人生の記憶に残るコンサート。

演奏された皆様に、深く感謝申し上げる。

素晴らしい演奏会をありがとう。

二日経った今、まだ思い出すと興奮してしまう。

★ ★ ★ ★ ★

最後にもう一言。

クラシックの音楽会に行っていつも思うこと。

あまりの年齢層の高さ。

このままではマーケットの下支えがない。

(ま、もちろん私も平均年齢をあげている一人とは思いますが…。)

それが今回、結構若い(といっても、30代、40代と思うが。)人たちがいたのだ。

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発表会な2015年7月・・・そして秋へとつづく。

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すっかりご無沙汰してしまった。

何しろ7月は3つの発表会に参加。大忙しだったのだ。

最初はご指導をあおいでいるピアノの先生主催の発表会。

いつものように松本記念音楽迎賓館で行なわれた。

そもそもピアノは、今の先生のお姉様に習っていたが、若くして急逝され、お妹様とお嬢様2人が、生徒を引き継いでくださった。(その話はこちらでhttp://peacelove.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/at-207e.html  )

この場所は、亡くなった先生が選ばれたので、他の発表会とは違う緊張感がある。

天国の先生に、少しでも上達した所を聴いて頂きたいと、誰しも一生懸命に弾く。

参加者全員、去年より上手になっている。しかも難しい曲に挑戦する人多く、感心した。

しかし何より、70代、80代の方々の演奏に心を動かされた。

正直演奏そのものは、途中で立ち止まり譜面を確認したりで、滑らかとは言えない。

しかし一音一音、しっかり弾かれる音に、言霊が宿っているよう。

歩まれてきた人生の重みを音に託す、そんな演奏だった。

私の演奏曲は、メンデルスゾーンの無言歌集より「5月のそよ風」と、チャイコフスキーの四季より「舟歌」。

どちらもまずまずの出来だったが、完璧とは言えず、さらなる努力が必要と反省。

と、帰りがけに、来賓の方から思わぬお言葉を頂いた。

「一番共感が持てました。人を引き付ける音があります。」

まあ!なんと嬉しい!

皆さんが素晴らしい演奏をされたので、私はとにかく丁寧に、最後まで止まらないよう心がけただけ。

過分なお褒めのお言葉とは思うが、素直に喜びたい。

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次の発表会はそれから2週間後、習い始めて日が浅い声楽の発表会。

参加するかどうか迷ったが、初心者なので、失う物は何もない!と出ることにした。

歌はサウンド・オブ・ミュージックから「全ての山へ登れ」。

「自分の可能性を信じ、夢をあきらめずに最後まで挑戦しなさい」という、元気の出る曲だ。

もちろん上手ではないが、今の持てる力は出せたかと。

一日中、他の先生の生徒さんの伴奏まで務めた先生に感謝。30曲以上お弾きになったのでは。

声楽の先生は、歌手ではなくコレペティトールという、声楽家のコーチをするのが専門。

そして何より伴奏がとてもお上手。

「本番は何が起きるかわからない。」と不安がる私に、「何があってもついていけるから大丈夫!」と、温かいお言葉。

実際、ピアノと比べ、先生の伴奏で歌えるのは、なんと安心なこと。

そして歌は、メロディーだけを覚えればいい。ピアノは一人で伴奏と両方を弾くので、暗譜も大変。

最後の和音まで、一人で何としてもたどり着かないと、舞台を降りられない。

ピアノを弾くとは、つくづく孤独な作業と思う。 

この日は全部で30名弱の参加者がいたが、人の声にこれほどバラエィがあるとは驚いた。

お上手な方はたくさんいたが、耳の不自由な方の歌に一番感動した。

先生の合図で歌いだすのだが、正直声にならない声。それでも心は伝わる。

不思議なことだが、そういうことが可能なのだと、初めて知った。

このグループは、打ち上げが楽しい。名幹事のおかげで、おいしいお食事とお酒。

いつまでも話が弾んだ。そしてこの次また素敵な発表会ができるよう、励まし合って終わった。

今まで、声楽は第2外国語と思っていたが、これを機に、歌とピアノと、両輪として励んでいきたいと思う。

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そして最後は毎年恒例、音楽グループ主催の八ヶ岳での発表会。

朝東京を出発し、簡単なリハーサルをして、午後に演奏会、そのあとは皆で合唱。

3・11の後は、しばらく「花は咲く」を歌っている。

それからケーキとお茶、温泉、夕食、おしゃべり。

翌日は早朝から自由練習、近場の観光(ちなみに今年はサントリーのワイナリーへ)、帰京とあいなる。

ピアノの先生の発表会の後なので、私はいつも気が抜けてしまい、成功したことがない。

がっかりしていたが、「去年より上手になった」と、諸先輩の励ましを受け、少し気分が軽くなった。

ともあれ、暑さの中、3つの発表会を無事に終えたことは嬉しい。

なんでこんなに発表会に出るか?

二つのことがあると思う。

ひとつは参加することによって、必ず何かがつかめる。発表会とは不十分な部分を見つけるところ。

もうひとつは、音楽を介さなければ、伝えられない物があること。

上手下手とは別に、誰しもが音楽によって伝えられるもの、他者と結ばれるものを持っていると思う。

それを表現できる場があることが嬉しくて、つい出てしまうのだ。

9月、10月と、また発表会がある。

どちらも20分の持ち時間があるので、上記の2曲の他にもう1曲、メンデルスゾーンの「春の歌」を弾こうと思う。

過度な挑戦なので、成功するとは思えないが、ただいま猛特訓中。

上手に弾こうと思わず、曲の語り部となるよう、気負わずに奏でることが出来たらと願う。

こうして2015年、私の夏は終わる。


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5月の発表会終了

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ようやく横浜青葉台、フィリアホールの発表会が終了。

今回は参加者少なく、1人20分の演奏時間を与えられた。

チャイコフスキーの四季より、「舟歌」だけの予定だったが、それだと6分で終わってしまう。

もったいないので、急遽もう一曲弾くことにした。

思えばこの欲張りが間違いの元。

メンデルスゾーンの無言歌から、「5月のそよ風」を選び、譜読みを始めたのが2月。

2ページの曲とはいえ、わずか3ヶ月で、暗譜までたどり着かなければならない、

もう気の狂いそうな日々。

習っている教室の発表会が4月19日に終わると、先生は1ヶ月のお休みを取られた。

この発表会は「舟歌」を弾いたので、メンデルスゾーンはあまり見ていただいていない。

それから5月19日までの1ヶ月、演奏会の仲間や、友人、声楽の先生にまで教えを請う有様。

気持ち悪くなるほど練習した。

当日は舞い上がり、ホールのトイレにお財布を忘れてしまう。

幸い警備の方に拾われ、ことなきを得たが、連絡をいただくまで、忘れたことにも気がつかなかった。

本番は、素晴らしいピアノ(スタインウェイ・グランドピアノD—274)の音色に励まされ、まずまずの出来映え。

聞きに来てくださった方々、ご指導いただいた皆様に、厚く御礼申し上げる。

次は7月5日、先生主催の発表会。

とりあえず「5月のそよ風」を完璧にすることと、あともう1曲、レパートリーの中から何かを探してブラッシュアップしなければならない。

こうして、あっという間に5月は終わってしまうのだ。

一年で一番良い時期なのになぁ。

★ ★ ★ ★ ★

【追記】

発表会の一週間前から、猫の團十郎は、ハンガーストライキしました。
私が、ピアノばかり弾いていたからだと思います。

あまりに食べないので、病院に連れて行くと、異物を食べた疑いがあると。
猫の分際で、血液検査、さらにバリュウムを飲み、時間をおいて何度もレントゲンを撮る騒ぎ。
一旦家に戻り、再度、夜12時から絶食させ、翌朝、最後のレントゲンを撮りに来るよう言われました。
ところが、練習に疲れた私は、ソファーで寝てしまい、團十郎の絶食に失敗。
翌朝一応撮ったけど、お腹いっぱいで上手く映らず。
食欲の出る薬をもらって帰りました。
薬のおかげで、その日はよく食べましたが、翌日はまた食欲なし。

発表会当日、9AM 自宅→猫病院(に置いて来て再検査)→10AM 自宅(衣装を持って)→11:20AM 発表会場→6PM、自宅(衣装を置いて)→6:30PM 猫病院(猫を引き取り・支払い)→7:30PM自宅

もう思いっきり疲れました。

結果、異物はなかったものの、少々の異常値があり、最後の検査でそれが改善していました。

ほんとにやってくれます。

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ラ・ムジク

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6月最終日曜日、毎年恒例、松本記念音楽迎賓館でのピアノ発表会があった。

この会の名称を、「ラ・ムジク」という。

プログラムは、メンバーのおひとりのお手製。お洒落なこの表紙は、その方が描かれた。

さて、以前にもご紹介したが、このホールは、パイオニアの創始者の自宅を改造したもの。
http://ongakugeihinkan.jp

ウィーンのピアノ製造業者、ベーゼンドルファー創業170周年記念モデルC-170CS型がある。

そのほかにも、パイプオルガンや、チェンバロなど、いわく因縁のある楽器を所有。

ホールの壁は杉材が張られており、音響効果も抜群である。

この音楽迎賓館と私たちの関係はこちらをご覧いただきたい。
http://peacelove.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/at-207e.html


さて当日のプログラムはこんな具合。


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ピアノだけでなく、バイオリンや歌もあり、なかなか聞きごたえのある内容だ。

発表会前の2回の練習会と比べると、誰もが良く練習し、仕上げてきた。

特筆すべきは、この中に80歳以上の方が3名もおられること。

どの方もお見事な演奏で、音色の中に人生がにじみ出ていた。

とくに、トリを務められた方は、難しいシューマンの「子供の情景」を豊かに表現された。

それに続くブラームスも、情感あふれた演奏で、終了後は拍手鳴りやまず。

私もこのように年を取りたいものと、心から願ったものだ。


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秋の発表会 無事終了

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ばんざーい!

“今度こそ”の思いがかなって、なんとか最後まで止まらずに弾けた。

いっぱいミスタッチはあったけど。

9月の発表会では出だしで思いっきり失敗。

その挽回を期した演奏だった。

この練習発表会を主宰し、25年続けている先輩からも合格点をいただき、天にも昇る気持ち。

写真はいただいたお花。

いつもながら、友人の暖かいお心遣いに感謝申し上げる。

そしてココログ広場の皆様の応援にも、厚く御礼申し上げる次第。

この次は12月21日、ピアノの先生主催の発表会。

それまでに仕上げられる曲はないかと、積み上げた楽譜を眺める。

今回は、参加申し込みをしながら、病気や怪我で、出演出来ない方が多かった。

簡単に考えていたが、「当日出演する」ということは結構難しい。

失敗も成功も、音楽人生のひとこま。

今の段階では、出来はともかく、まずは出演するが目標。

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危うし!ヨナス・カウフマン! 「イル・トロバトーレ」

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さて7月にミュンヘンとミラノへ行った話の続き。

渡航先にミュンヘンを選んだのは、ミュンヘン・オペラ・フェスティバルがあるからだ。

このフェスティバルは、1875年が最初で、その後規模が拡大し、今では毎年6月から7月にかけて行われる。

一年間で評判の良かった作品を再演するので、ザルツブルグより、質が高いと言われているそうだ。

私たちが見た、「ファルスタッフ」、「椿姫」、「シモン・ボッカネグラ」、「ナキソス島のアリアドネ」(これだけがリヒャルト・シュトラウス作品)、これらは全て再演。

現地で運良く、キャンセル待ちで切符を入手した「イル・トロバトーレ」だけが初演。

そのためかミュンヘン国立歌劇場の壁は、このパネル写真が、所狭しと飾られていた。

どうすれば「イル・トロバトーレ」の切符を入手できるか?

出発前に、事務局に問い合わせたところ、出演者に割り当てられた切符が、キャンセルがあると当日売りに出てくると聞いた。

まず95%は無理と承知で列に並び、待つこと2時間。

幸運にも、開演15分前に最後の切符をゲット。

まさか取れると思わないから、観光帰りのジーンズにスニーカー。

それでも、周りの人の拍手喝采に送られ、小躍りしながら劇場に入った。

私たちの席は4階とはいえ、真っ正面の一番前。天にも昇る気持ちだった。

「イル・トロバトーレ」とは、吟遊詩人という意味で、舞台設定は15世紀のアラゴン地方。

この地の貴族ルーナ伯爵家の次男が病弱で、それはジプシーの老婆の呪いのせいとされ、老婆は火あぶりにされる。

この老婆の娘(アズチェーナ:メゾ)が、伯爵家の次男をさらい、火の中に投げ入れるつもりが、あわてて自分の子を火の中へ。仕方なく次男を自分の子(マンリーコ:テノール)として育てる。

その後、マンリーコは成人し、アラゴン王妃の美人女官(レオノーラ:ソプラノ)と相思相愛。

ルーナ伯爵家の長男(ルーナ伯爵:バリトン)も立派に成人。家を継ぐが、レオノーラに恋心を抱く。

物語はこの三画関係と、ジプシーのアズチェーナの復讐が絡み合って展開。

最後は、自分の弟とは知らず、ルーナ伯爵がマンリーコを処刑してしまい、アズチェーナが「おまえは自分の弟を殺したのだ!母さん、かたきを取りました。」と叫んで終わる。

荒唐無稽の話だが、オペラの筋書きはどれもこんなもので、大事なのは音楽の美しさなのだ。

最初は、黒い衣装の男性ダンサー達が登場。そのあと、ジプシーの老婆役の女性ダンサーが、白髪を振り乱し、ヌードと見間違えるような薄い白衣装であらわれる。

舞台と衣装がモノトーンの中、くすんだオレンジ色の赤子の人形2体(まだへその緒がついたまま)を、ジプシーの老婆や黒衣装のダンサーたちが放り投げ、伯爵家の子供と老婆の娘の子供が取り違えられたこと、老婆とともに火あぶりにされたことを、踊りで表現。

ジプシーの老婆が実に不気味で、この老婆の怨念が、これからの物語を支配することが分かる。

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(写真は、老婆と、老婆の娘アズチェーナ役のElena Manistina、マンリーコ役のKaufmannカウフマン)

そして女官レオノーラ(Anja Harteros)の登場。アリア「穏やかな夜」を歌う。この人の声のすごいこと。声量もたっぷり。最初から惜しげなく声が出る。

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(ブロマイド写真より)

さあ、満を持してマンリーコ(Jonas Kaufmann ヨナス・カウフマン)の登場!三階建ての舞台装置の一番上から歌い始める。

これがこれが、なんと!声が出ない!高音を力で無理やり出している。

昨年ザルツブルグで聞いた時は、何の問題もなく、力強い声だった。

カルメン役のコジュナの声が細いので、バランスを取るため声量を調整しているくらいだったのに。

えー!もう私はハラハラドキドキしてしまう。

幸いなことに、そのあとすぐに調子を取り戻し、レオノーラ、マンリーコ、ルーナ伯爵(Alexey Markov)の三重唱は、力強く、素晴らしかった。

二幕目は「アンヴィルコーラス(鍛冶屋の合唱)」で始まるが、この時のダンサー達の舞踏が、また出来が良い。

そのあと登場のアズチェーナ(Elena Manistina)、声の堂々としたこと、表現力のある歌声には驚かされた。

今回は主役級の4人、レオノーラ、マンリーコ、ルーナ伯爵、アズチェーナが、全部力量ある歌手で配役され、聞き応えのある、バランスの良い、オペラになっていたと思う。

その後、カウフマンは安定して素晴らしい歌声を披露。全く問題なかったのだが、最初の不調に、終わりまで心配。片時も目を話すことが出来なかった。

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(写真は「見よ、恐ろしい炎を」歌うマンリーコ役のカウフマン:ブロマイド写真より)

今回見たオペラの中で、一番ドキドキしたかもしれない。

さすれば、もしかして、わざとしたの?

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(写真はカーテンコールに答える出演者達)

☆ここに使った写真は、最後のカーテンコール以外、劇場の外に飾ってあったパネル写真とブロマイド写真を使いました。そのため見にくいと思いますがお許しを。

★ ★ ★ ★ ★

カウフマンは幕間に手品にも登場。箱に入って2つに切られたりしました。

私は観客へのサービスと好意的に見ましたが、我が友人のCDディレクターは、非常に批判的でした。

すなわち、これはマンリーコが最後に処刑される暗示で、全ての演出が、老婆の怨念や、子供の取り違えに対して、グロテスクな説明をしすぎである、もっとベルディのオペラそのものを、いじらず見せてほしい、との意見でした。

私は半分同意しながらも、イタリア語のオペラをドイツでやる以上、説明的になるのはいたし方ないと思います。

これほど有名なオペラなので、まずはともかく、人と違うことをしなければ意味がない、との演出家の思いは良く分かります。

他にも踊りで出産の場面を表現したり、やや、やり過ぎの感はありましたが、舞踏そのものの質の高さ、ぎりぎりで表現に品格を保っていたこと、またこのグロテスクさが、ある意味ドイツ的であるとも言えるので、私はこの演出に関しては、興味深く受け止め、合格点をあげたいと思いました。

舞台芸術としては、モノトーンの中に、赤、ピンク、オレンジを挿し色として使い、綺麗でした。なかなかお金をかけていたと思います。

オーケストラ、歌手、踊り手、全ての人々が一生懸命取り組み、音楽的には素晴らしい舞台でした。

見れて本当に良かったと思います。

主役級の4名の歌手以外に、レオノーラの侍女役を演じたGolda Schultz(ソプラノ)も上手で、気になる歌手でした。

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当世西洋オペラ事情 (追加写真あり)

(本日記事に写真を追加しました!)

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ご報告が遅くなったが、7月4日から2週間、ミュンヘンとミラノに行ってきた。

そもそも今回の旅行は、友人でクラシックのCD制作ディレクターの発案。

さんざん僻地旅行をしていたが、寄る年波で無理が利かなくなり、若い時に仕事で行った場所をもう一度訪れたい。

仕事の合間に聞いたオペラを、奥様とともに鑑賞したい、これが発端。

さりとて切符の手配は出来ず、私にお鉢が廻って来た。

いっそ一緒に行かないか?とのお誘いも。

私はそんなにオペラを見たこともないが、こんなチャンスがなければ本場で聞けない。

よし行ってみよう!

ついてはもう一人友人を誘い、4名の旅行を計画。

昨年のザルツブルグ音楽祭観賞旅行が楽しかったので、その続編というわけ。

切符の手配は、昨年秋からインターネットで申し込み、今年2月の結果発表を待った。

どれが取れるか分からないので、友人の指示のまま、今年目玉のベルディ作品を中心に、あれこれ申し込んだ。

結果は、ひとつを除き、他全部、すなわち、「ファルスタッフ」、「椿姫」、「ナクソス島のアリアドネ」、「シモン・ボッカネグラ」、「仮面舞踏会」が取れた。

たった一つ取れなかったのは、当代一のテナー歌手との呼び声高い、ヨナス・カウフマン主演の「イル・トロバトーレ」。

たくさん取れて嬉しかったが、一方、旅行予算超過。それからは出発までは、節約の日々。

幸いなことに、ミュンヘン到着の翌日、当日キャンセル待ちの列に並び、見事「イル・トロバトーレ」の切符も手に入れた。

(拙稿、「ミュンヘン オペラ フェスティバル」 http://peacelove.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-b45c.html をご参照あれ!)

かくして全部で6つの作品を観ることが出来たのは、幸せと言うほかない。

さて、本場でのオペラ鑑賞はというと、まずは劇場の素晴らしさ。

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(写真はミュンヘン国立歌劇場)

「仮面舞踏会」はミラノ・スカラ座、「ナクソス島のアリアドネ」は、ミュンヘンのPrinzregententheater(日本語でなんと訳すのか不明にして知らず)、その他はミュンヘン国立歌劇場にて。

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(Prinzregententheater)

スカラ座とミュンヘン国立歌劇場は馬蹄形、Prinzregententheaterは普通のシアター形式の劇場だったが、どこも素晴らしく音が良い。

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(ミラノ、スカラ座)

特に「イル・トロバトーレ」は4階真正面の一番前、「ナクソス島のアリアドネ」は前から5番目の席だったので、音が良く来た。

観客のお洒落な身なりを観ることも、オペラの楽しみの一つだ。

やはり西洋人のトルソーの厚み無くして、タキシードやイブニングは似合わないと、つくづく思う。

次に指揮者とオーケストラの良さ。一言でいえば、オペラの演奏に慣れている。

ミュンヘンとミラノの音の違いにも気付いた。

どちらも良い音なのだが、論理的・観念的ドイツの演奏と、イタリアの青空に抜けるような澄んだスカラの演奏は、好対照だった。

歌手たちは、ヨナス・カウフマン以外は、それほど日本で知られている人がいなかったように思う。

しかし、毎回これでもかというほど、素晴らしいメゾ、ソプラノ歌手が出てくる。

テノール、バリトン歌手との重唱も聞きごたえあり、これらの歌手の今後を、注目して見守りたいと思った。

指揮者は、「ナクソス島のアリアドネ」と「シモン・ボッカネグラ」のベルトラン・ド・ビリー(Bertrand de Billy)がちょっと気になった。

演出はと言えば、全て凝っていて、ひとひねりしている。

時代を置き換えているものがほとんどで、「仮面舞踏会」は17世紀末、アメリカのボストンが舞台のはずだが、なんとアメリカ大統領予備選挙もどき。

主人公リッカルドは、資金集めのパーティで、刺殺ではなく、銃撃されて死ぬ。

「シモン・ボッカネグラ」も、14世紀のジェノヴァが、第1幕は1920年代シカゴのマフィアの抗争、第2幕は取締役会議のようだった。

どちらも、舞台に自動車が出てきたりするのである。

そういう演出がいいかどうか、意見は分かれると思う。が、私のように見慣れてないものは、オーソドックスなものを一度は見たいと思った。

舞台の色彩は、モノトーンを基調に構成されているものがほとんどで、さし色にピンクや赤を使っていた。

まだまだ書きたいことがいっぱいあるが、今日のところはこれまで。

また折に触れて、ご報告したいと思う。


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ミュンヘン オペラ フェスティバル

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出発前の騒ぎをよそに、昨日夜、無事ミュンヘン到着。

今回の主目的は、ベェルディのオペラを聞くため。

昨年の10月より準備を始め、手を尽くして切符を手配。

それでも取れなかったのが、今をときめくテノール、カウフマン主演のトロバトーレ。

だめだと知りつつ、当日のキャンセル待ちに並ぶこと2時間。

えー!ほっぺたをつねりたくなった。友人共々、最後の切符をゲット!

なんと運のよいことか。

3階席だが、ほぼ正面の一番前。

この世のものとも思われぬほど、良い音楽だった。

詳細はまたゆっくり。

でもオケを始め、重要な役回り全ての力がこれほどそろったオペラは、初めて。

生きてると時々こんな良いことにも巡り会えるのだね。

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